小人が白雪姫と王子様と同棲するようになって、暫くの事。
お城ではお妃様と猟師が物言う鏡を前に食事をしていました。

「あ、さんぞー!残すならそれ俺食ってもいい?」

「あぁ」

「おい、お妃。オレへの供えモンがねぇぞ。」

「・・・知るか。」

「ほぉ、じゃぁアレをばらしていいんだな?」

鏡の中で不敵な笑みを浮かべる美人に向けて、三蔵が躊躇う事なく銃を向けました。

「ほぉ、オレに効くと思ってんのか?」

「何事もやってみなけりゃ分からんだろう。」

ズキューン・・・と、音を立てて飛び出した銃弾は見事鏡の中の人物の眉間に当りました・・・が、それも一瞬の事で、鏡に跳ね返ったかと思うと銃弾が部屋中を飛びまわりました。

「わっ、わっ、わーっっ!!

「死人が出るぞ、玄奘三蔵。」

「・・・今、その名で呼ぶな。」

肩を小さく震わせながら苛立たしげに椅子に座り、タバコを手にしたお妃様に猟師が尋ねます。

「なぁ。」

「なんだ。」

“あれ”ってなんだ?食いもんか?」

「・・・さぁな。」

「ほぉ、お前は知らないのか。じゃぁオレが教えてやろう。実はな・・・」

「うんうん!」

嬉しそうに鏡に近づく猟師に、お妃様は何処から取り出したのかハリセンを勢い良く振り下ろしました。

「煩ぇ!てめぇはメシでも食ってろ!!」

そう言ってハリセンを放り投げると、何処から取り出したのか高価なお酒を鏡の前にドンと音を立てておきました。

「黙ってろ。」

見る者を震え上がらせるような眼光ですが、鏡の精は何処吹く風。
真っ白な腕を伸ばしてテーブルの上のお酒を掴むと、器用に鏡の中へお酒を引き込んでしまいました。

「最初から素直に言う事聞けよ。お妃様。」

「・・・黙れ。」

「可愛くねぇなぁ、折角の美貌が台無しだぜ?」

「・・・」

「うわっ、すっげー!なぁなぁどうやって鏡の中に食い物持ち込んだんだ?」

不思議そうにぺたぺた鏡を触る猟師に、鏡は思い切りふんぞり返りながらこう答えました。

「オレサマに不可能はない。」

「へー、そっかぁ・・・なぁ!俺にもそれできっかな?」

「・・・馬鹿が。」

そんな馬鹿な話をしている1人と鏡を置いて、タバコを手に持ったままお妃様は窓辺に立つとゆっくり流れる空の雲に視線を向けました。





鏡の精が話そうとした、話とは。
城から追い出し、猟師に殺させようとした白雪姫・・・ではなく、白雪姫と一緒に住んでいる小人の様子を鏡を使って垣間見ていた事。



今、彼女がどうしているか

幸せに暮らしていくのか・・・




お妃様が気にしているのは、ただそれだけなのです。





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あらあら?
案外切ない感じになっちゃいましたねぇ。
一応お笑い方向へもって行くつもりだったんですが、気付いたらこんな感じになっちゃいました。
でも相変わらず鏡の精は凄いなぁ最強だよ!
ってか、気付いたら名前変換ないじゃんっっ!ごめんなさ〜いっ!!(脱兎)

短冊No.45 瑠璃香さん:一応、お願い受理・・・したつもりですByお星さま